西三河の淡水生物

愛知県西三河地方の、湿地に生息する生き物たちの紹介です。
写真が撮れ次第、随時追加していきます。
(掲載画像の生物は自然下で採集したもので、全てが成体・成魚とは限りません)


湿地の生き物たち
ヒメタイコウチ ハッチョウトンボ
ヒメタイコ  呼吸管が短く、水生昆虫の仲間なのに水が多いと溺れてしまう変わり者。
 飛ぶ事もできず、湿った泥の中でじっとしている。
ハッチョウ  湿地や休耕田に見られる、我が国最小のトンボ。
 オスは成熟すると真っ赤に染まり、メスとは別種に見える程色合いが違う。
マユタテアカネ ヒメアカネ
マユタテ  顔面にある特徴的な2つの黒い斑紋を眉に見立て、眉を書きたてた赤トンボという意味からこの名が付いた。 ヒメアカネ  平地から低山地の湿地で見られる、アカネ属の中では最も小さいトンボ。
シオヤトンボ ムカシヤンマ
シオヤ  山麓部の池沼や湿地で見られる、シオカラトンボの仲間。
 オスは成熟すると体に白色の粉が厚く吹き出る。
ムカシヤンマ  「生きた化石」と言われる、遥か昔の形態を残すトンボ。
 豊かに残る自然と、きれいな湧き水が世代を繋いでいく大きな条件。
オオアオイトトンボ アカハライモリ
オオアオ  イトトンボの中では、大型の種類。
 背面の金属光沢のある緑色と、側面の黄色が、非常に美しい。
アカハラ  山地の湿原や湿田の水中に見られ、腹側が赤い事が名前の由来。
 有毒なので、触った手で目を擦らない等、注意が必要。
モウセンゴケ トウカイコモウセンゴケ
モウセンゴケ  湿地や湿原で代表的な食虫植物。
 ネバネバした液体をつけた葉を放射状に広げ、捕らえた虫を溶かして吸収し、養分にする。
トウカイコモウセン  さじ型の葉をロゼット状に広げて獲物を待つ食虫植物。
 初夏、長い花茎の先に、ピンク色のかわいらしい花を咲かせる。
ミミカキグサ ムラサキミミカキグサ
ミミカキグサ  花の後に残る萼の形が、耳掻きに似ている事から、この名が付いた。
 夏〜秋になると、鮮やかな黄色い花を咲かせる。
ムラサキ  湿地に生え、地下茎に捕虫嚢を持つ小型の食虫植物。
 秋になると、長い花茎の先に、薄紫色のかわいらしい花を咲かせる。
ホザキノミミカキグサ アギスミレ
ホザキノ  花は5mm程で、ミミカキグサ類の中では最大。
 ムラサキミミカキグサに似るが、紫色に、くし型の白い斑紋があるのが特徴。
アギスミレ  春の湿地や沢沿いで見られる白花のスミレ。
 花期を過ぎると、葉の形が心形からブーメラン形になるのが大きな特徴。
ネコノメソウ ツリフネソウ
ネコノメソウ  山地の湿地や沢沿いで見られる植物。
 花は小さく目立たないが、瑞々しい淡黄緑色の姿は、林の中で見ると鮮やかに浮き出るよう。
ツリフネソウ  山地の湿地で見られる。
 葉脇から伸びた花茎に、袋状になった赤紫色の花が釣り下がった、独特な形が特徴。
サワギキョウ サギソウ
サワギキョウ  湿地に生える、キキョウの仲間。
 紫色で鳥が羽根を広げたような独特な形の花は、園芸種としても人気があり、盗掘される事も多い。
サギソウ  シラサギが羽を広げた姿に似る。
 他のラン科の植物同様、園芸種としても大変人気があり、盗掘による減少が著しい。
ミズギボウシ ヌマトラノオ
ミズギボウシ  日当たりの良い湿地で、夏のおわりに淡紫色の漏斗状の花を咲かせる。
 控えめな花だが、内側には濃紫色の筋が入り、美しい。
ヌマトラノオ  茎の先の花穂に多くの白花をつける、サクラソウの仲間。
 ひとつひとつの花は小さいが、サクラソウそのものの楚々とした佇まいが魅力。
セリ ミズギク
セリ  湿地、溝、小川に生える、セリ科の代表種。
 柔らかい若芽は山菜として利用されるが、よく似たドクゼリには注意が必要。
ミズギク  高山植物のウサギギクと近縁な、氷河期の遺存植物。
 茎の先に黄色い花を1つ付ける、秋の湿原を彩る代表的な花。
スイラン サワシロギク
スイラン  秋に黄色い花を咲かせるキク科植物。
 水欄と書き、葉がシュンランの葉に似て細長く、湿地・水辺に育つ事から、この名が付いた。
サワシロギク  白色の舌状花と黄色の筒状花からなり、咲き始めは白花だが、次第に紅色に変わり、一見すると全く別の種類の花に見える事もある。
アケボノソウ ミゾホオズキ
アケボノソウ  湿地や沢沿いに咲く、センブリの仲間。
 小さいが、ひとつひとつの花はとても繊細で、名前のアケボノもその模様から付けられている。
ミゾホオズキ  夏、渓流沿いや山地の湿地で鮮やかな黄色の花を咲かせる。
 袋状になった萼に包まれた果実の様子がホオズキのように見える。
キツネノボタン ミゾカクシ
キツネノボタン  光沢のある黄色い花を咲かせるキンポウゲの仲間。
 扁平なそう果が集まって出来た集合果は金平糖のような球形となる。
ミゾカクシ  アゼムシロとも呼ばれ、湿地や田んぼで見られる、キキョウの仲間。
 淡い赤紫色で特徴的な形の花を咲かせる。
ミカワシオガマ ウメバチソウ
ミカワシオガマ  三河地方を中心とした湿地に咲く、ゴマノハグサ科の植物。
 鮮やかな赤紫色の、ねじれたような花を茎の上部に輪生させる。
ウメバチソウ  花の形が、梅の花に似、無柄の葉が茎を抱く様子を鉢に見立てて、梅鉢草と呼ばれる。
 園芸種としてもよく知られる。
カキツバタ ノハナショウブ
カキツバタ  開発によって自生地が激減し、数少なくなった野生種の群生地は国の天然記念物に指定される程。
 花びらの中央部に白班があるのが特徴。
ノハナショウブ  カキツバタと同じアヤメ科の植物。
 カキツバタに比べ、やや乾いた場所にも生える。
園芸種である花菖蒲の原種。
コチャルメルソウ ニッポンイヌノヒゲ
コチャルメル  渓流沿いの湿った林床に、羽毛状に裂けた独特な形の花を咲かせる。
 名前は、実の形がチャルメラに似ている事から。
イヌノヒゲ  湿地で見られるホシクサ科の1年草。
 細い草体ではなく、花の集まりを包む「ほう」が犬の髭に似ている事が名前の由来。
シロイヌノヒゲ シラタマホシクサ
シロイヌノヒゲ  葉は線形、花茎は放射状に伸び、ホシクサ属はどれも似ていて見分けがつき難いが、ニッポンイヌノヒゲに比べ総苞片の数が多い。 シラタマホシクサ  東海丘陵要素植物のひとつ、伊勢湾周辺の丘陵地帯だけに分布するホシクサ。
 秋には、無数の星が湿地全体に舞降りたように煌めく。
イトイヌノハナヒゲ ミカヅキグサ
イトイヌノハナヒゲ  葉が線状で、糸のように見える事が名前の由来。
 イヌノヒゲ類と名前は似るが、カヤツリグサ科の植物で、分類上全く違う種類。
ミカヅキグサ  カヤツリグサの仲間としては珍しく、白い花を咲かせる。
 小穂が半円形に開く事から、三日月の名前が当てられたとも言われる。
ヌマガヤ オオミズゴケ
ヌマガヤ  中間湿原を代表するイネ科植物。
 保護湿地では増えすぎたヌマガヤの刈り取り作業が行われる事も多い。
オオミズゴケ  湿地や湿原で最も普通に見られるミズゴケの仲間。
 園芸用として流通し、広く利用されているが故に、業者他による盗掘も多い。
マムシグサ シデコブシ
マムシグサ  偽茎の紫褐色のまだら模様と、鎌首を上げたような形の仏炎苞がマムシを連想させる、サトイモ科の植物。
 湿った場所に多い。
シデコブシ  日本の固有種で、東海丘陵要素植物のひとつ。
 湿地周辺に咲くモクレンの仲間で、白〜薄紅色の花が美しい。
キショウブ【国外外来種】
キショウブ  ヨーロッパ原産。
 観賞用が逸脱・野生化し、全国の湿地で見られる植物。
 色目の良さから、ビオトープに植えられる事も多い。



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